間仕切りのない1階のリビングの中心。
家族が集う ちょうど真ん中あたりの壁に1枚の絵が飾ってあります。
髪の毛の1本1本から、肌の影にいたるまでそれはそれは丁寧に描かれた ぼくの肖像画。
「彼女からの贈り物」
そう。
ぼくの妻からの贈り物です。
結婚する前、貧乏学生だった彼女はある年の ぼくの誕生日にプレゼントを買うお金がなくて考えて考えて知恵をしぼったあげくぼくの肖像画を描くことにしたそうです。
遠距離のおつき合いだった彼女と ぼく。
ぼくの写真に向かい合いながら真っ白いキャンパスに一筆一筆を走らせた彼女。
どんな高価なプレゼントよりも貴重で大切な贈り物です。